瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Jun 3, 2016

須磨水族園特別展「カニ研究クラブ」


 今年の神戸賞の受賞内容であるブロメリアガニにちなんで、カニに関する特別展が須磨水族園で開催されていました。
 この展示を作成した中心人物の一人は、須磨海浜水族園の宮嶋彩さんですが、この方は大学院生時代は瀬戸臨海実験所の教育拠点共同研究員として、フィールドワークをしていた方です。当時の所属は奈良女子大学大学院で、カニの行動、生態学で有名な和田恵次先生の薫陶を受けていました。

 この特別展の紹介については、須磨海浜水族園で下記のように紹介されていました。

「幼少の頃には川や海でのよき遊び相手であり、成長してからは美味しい食材としてなじみのあるカニですが、熱帯域から極地の海、森や川から深海まで、この地球上の多様な環境に適応しています。これらの環境に適応するため、彼らの姿形、生態も多様性に満ちた世界です。
 本特別展ではこの多様なカニたちの世界をご紹介するとともに、カニという生きものがどういった生きものなのかを学んで頂ける内容となっております。」


特別展会場の入り口です。

内容構成は下記のようになっています。
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●カニってどんないきもの?
 カニの進化や特徴など他の節足動物と比較しながら詳しく解説します。

●節足動物の口を比べてみよう
 カニ以外のヤドカリやカブトガニといった甲殻類の口をご覧いただけるように、下から見上げることができる水槽で展示します。

●色んな環境に適応したカニたちを展示。

●太古のカニ
 まるでオブジェのようなカニの美しい化石を展示。

●カニのへぇ(豆知識)
 思わず唸りたくなる豆知識をゲットしよう。

●カニダンスを踊ろう!
 これで君も干潟のカニダンスをマスターしよう。
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カニの付属肢を説明する展示です。 甲殻類は基本的に1つの体節に1対のY字型の付属肢がついたものが、連なった形をしています。これが進化のプロセスの中で、さまざまな形になり、触角、口器、はさみなどになっています。



ブロメリアの葉で子育てをするブロメリアガニの模型です。


 上記模型の拡大図です。一番大きいのが、母親のメスガニです。 その右にいるのが、母親が育てた最初の子供たちの中の1匹の娘カニです。 たくさん生まれた第一世代のうち、1匹だけが巣にとどまり、母親を助けるヘルパーとなります。この娘ガニは、この巣にとどまる限りは、性成熟が起きません。たくさんいる小さなカニは2年目以降に生まれた子供たちです。このカニは1年に1回しか繁殖しないので、同じサイズのものは、年齢が同じです。 
 カタツムリの殻がたくさん見えますが、これは母ガニが外から集めてきたものです。カタツムリの殻が水に溶けだし、子供カニにカルシウムを供給し、また酸性に傾きがちな水を中性に中和する働きをします。
 「複数世代の共存」「繁殖における分業(ヘルパーの娘カニが不妊)」「共同の子育て」を兼ね備えたものとして、原始的な「真社会性」と言えるかもしれません。子育てのある単なる「亜社会性」よるは、進んだ形の社会性をもっています。

ブロメリアガニの解説です。

生体展示もたくさんあります。 オカガニです。

さまざまなカニの生体展示があります。


マングローブの干潟も再現されています。 この中に、たくさんのミナミコメツキガニがいるそうですが、すべて砂の中でした。宮嶋さんによると、いわゆるミナミコメツキガニの行進が、さっぱり見られないそうです。

化石のカニも展示されていました。


 「和田恵次教授とおどろう」のコーナーもあります。 ヤマトオサガニ体操、アリアケガニ体操、コメツキガニ体操、チゴガニ体操などを、ビデオをみながら習得することができます。 まず和田先生が手本を示し、須磨水族園スタッフがそれに合わせて踊る、という構成になっています。先頭、中央にいるのが宮嶋さん。
 これを見て、きみも「ヤマトオサガニ体操」を習得しよう。(写真提供:須磨海浜水族園)


Special thanks: 本稿を草するにあたり展示情報の当ブログへの掲載を許可してくださった、須磨海浜水族園の亀崎直樹須磨海浜水族園学術研究統括部長、同水族園の中村清美さん、宮嶋彩さんに、深く感謝します。


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