瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Jan 2, 2016

祝! 加賀谷勝史先生 論文出版

posted by AA


 瀬戸臨海実験所連携助教の加賀谷勝史先生が、論文を出版されました。おめでとうございます!

 甲殻類のシャコは、スシネタとしても有名ですが、付属肢を高速で運動させることによって二枚貝などの固いものを割って食べます。加賀谷先生は、この高速運動に着目してそのメカニズムの研究を行っています。
 一度シャコが運動を始めてしまったら、その動きは速すぎてリアルタイムでのコントロールはできません。今回の研究で、加賀谷先生はPatek博士との共同研究で、シャコが外骨格バネ圧縮を伸展筋によって変化させることで、パンチ速度を「運動開始前」に調節していることを示したました。今後、シャコがなぜ速度調節をするのか、シャコに秘められた捕食行動の戦略性とそれを支える学習能力の研究展開が期待されるます。

Feed-forward motor control of ultrafast, ballistic movements
K. Kagaya, S. N. Patek
Journal of Experimental Biology  2015

DOI: 10.1242/jeb.130518

URL: http://jeb.biologists.org/content/early/2015/12/04/jeb.130518


 シャコの高速パンチの様子が下記にアップロードされています。
    https://youtu.be/47AYYrFjRJE


この論文の内容の概要は下記です。

筋肉の限界を克服するために、バネやラッチの利用によって超高速かつ高パワーの運動が実現される。数ミリ秒での運動では、典型的な神経・筋系での運動調節が実時間で行われることは不可能であるため、超高速運動は調節がなされることがないか、「運動前」に調節される。本研究では、シャコ(口脚類 Neogonodactylus bredini)で、超高速運動が調節されるのか、また、そうであれば運動前にどのように制御されるのか調査した。ハイスピード撮影を行うと同時に、バネ圧縮とラッチ開放を制御する伸展筋と屈曲筋からの筋電図を記録した。スマッシュ動作は屈曲筋活動が停止した数ミリ秒後に開始した。これは屈曲筋がバネ開放を妨げ、動作開始タイミングを決定していることを示す。線型混合モデルと赤池情報量基準を用いて、制御機構に関する複数の仮説を検討した。バネ圧縮とパンチ角速度の変動が、伸展筋運動ニューロンの活動で説明されることが判明した。この結果は、シャコが運動学的に変化のあるパンチを生み出せることを示しており、そのキネマティクスが運動開始前の運動ニューロン活動によって変更されること、さらには、超高速運動が上流の中枢神経系に基づいた制御仮説を支持する。これらといくつかの知見に基づいて、我々は生物学における弾道的運動制御の代替仮説群として「鹿威し」モデルを提示する。シャコにおけるフィード・フォワード制御の発見は、超高速運動における運動対象の評価、戦略的な運動変化、学習の役割についての研究を展開するための舞台を提供すると言える。


  

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