瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Feb 7, 2015

神戸賞(その3)


posted by AA

平成25年の第3回神戸賞の受賞者は、大型鯨類の行動生態を解明したPatrick J. O. Miller博士(Sea Mammal Research Unit, University of St. Andrews, U.K.)でした。




マッコウクジラは、歯を持つ動物としては世界最大で、大きなオスは体長18メートル、体重50トンにもなります。本種は、深度1000メートルを超える深海で、イカなどを捕らえていることが、胃内容物の調査などからは知られていました。しかし、潜水中の行動、特に餌を捕らえる様子については直接観察することが不可能で、謎に包まれたままでした。これに対し、受賞者のMiller博士は、従来の音響測定法を応用し、小型の記録計動物自身に取り付けて、音と行動を測定するバイオロギング手法を導入することで、マッコウクジラの狩りの様子の解明に挑みました。そして、潜水中にクリックス音を0.5~2秒間隔で発信しながら餌を探索し、潜水底部で次第に発信間隔が短くなる一連の音“バズ(あるいはクリーククリックス)”を用いながら、反転しつつ餌を捕らえていることを発見しました。従来、餌の捕獲の際にバズが使われていると推定されていたものの、実際にそれを実証することはできませんでした。これまで、誰も見ることが出来なかったマッコウクジラの狩りの様子を解明し、海面下に広がる未知の世界への扉を開きました。
 その他にも、マッコウクジラが海面付近で体を浮きのように垂直に立てて休むことなど、興味深い生態を次々と明らかにしてきました。音響測定とバイオロギングを組み合わせた新しい手法を駆使して得られた発見は、既存の仮説を覆し、鯨類に興味を持つ人々の疑問や関心に直接答えるもので、学術的にも優れた価値が認められました。



竿の端にデータロガーを仕掛けマッコウクジラの浮上を待つMiller博士(撮影:Matt Bivins)


マッコウクジラの背中にデータロガーを装着した瞬間(撮影:青木かがり)



前回の神戸賞と同じくトロフィーは受賞者にちなんでクジラ型の特注品




Miller博士の講演



全員で記念撮影

謝辞

このページを書くにあたって、写真の使用許可および一部文章の引用をご許可いただいた神戸市立須磨海浜水族園と亀崎直樹館長に御礼申し上げます。
引用元:http://www.sumasui.jp/tyousa/cat54/post-23.html







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