瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Sep 14, 2014

気仙沼でのポケゼミ その4

ポケゼミ五日目です。



宿泊している「ひこばえの森 交流センター」。ここで寝袋とマットで、寝ます。朝と晩の食事つきです。

 本日は一関市の矢越山に登ります。ここは畠山さんが力を入れている植樹の拠点となっている山です。毎年6月に開かれている植樹祭には全国から12001500名の方々が参加されているそうです。畠山さんの信念とするところが、 広報いちのせき「I-Style」 平成25715日号につぎのように書かれています。
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海と森は、密接な関係にあります。
 落ち葉や枯れ木は、虫や微生物によって分解され、養分をたくさん含んだ「腐葉土」と呼ばれる土になります。
 雨や雪解け水は、この腐葉土に染み込み、長い時間をかけて流れ出します。
 腐葉土に含まれるリンや窒素などの養分も一緒に溶け出します。
 養分を含んだ森の水は、川となって、海に流れます。
 森から海に運ばれた養分は、海中の植物プランクトンを育み、貝や魚などが生息する豊かな海を作ります。そうです。森は海の恋人なのです。

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さらに 広報いちのせき「I-Style」からの引用。

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 なぜ、漁民が山に木を植えるのか―1980年代初頭、気仙沼湾の汚れた海に赤潮が発生。湾内で養殖するカキの身が赤くなる「血ガキ」の被害が相次いだ。
 当時、フランスを視察した畠山さんは「川の上流にあるブナやクルミの森がきれいな海を守っている」ことを知る。海中の植物プランクトンは、動物プランクトンに食べられる。それらを食べた小魚は、大きい魚に食べられる。これが海の食物連鎖だ。つまり、食物連鎖のもととなるのが、植物プランクトンなのである。その植物プランクトンを増殖するのに森林が深く関わっているというわけだ。
 カキやホタテは、大量の植物プランクトンを食べて育つ。プランクトンの発生には、豊富な窒素やミネラルが不可欠であり、これらの養分を海に補給しているのが「森」だ。腐葉土には、プランクトンの成長に必要な養分が多く含まれている。川の上流に降った雨は、腐葉土の養分を溶かして海に運ぶ。流域に広がるブナ、カエデ、ナラなどの落葉広葉樹の森を守り、育てることが、カキやホタテの成長には重要だ。
 植物プランクトンが繁殖しやすい環境をつくることは、動物プランクトンや魚貝類を含む豊かな海を育むことにつながる。裏を返せば、森が失われると、豊かな海も失われるのである。 
 海の生態系は、森の生態系や川の生態系と密接につながっている―。そのことを知った海の男たちが、何もしないわけはない。切実な思いから始まった行動は一気に加速した。きれいな海を取り戻し、豊かな海を育むために。
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さまざまな木を山に植えたことで土壌がふかふかな豊かな黒土に変わった。すると自然に湧水がわいてきたという。この水は冷たくてとてもおいしかった。まさに自然の恵みだ。それにしても、海を豊かにするためには、森にさまざまな木が生えていて多様性の高い植物と動物が住んでいなければならない、というアイデアに到達した慧眼には、驚きます。しかしそれ以上に驚くのは、それをすぐに実行に移し、それがどんどんと広がって今や、全国にそれが知れるようになったことです。




6月の植樹祭の様子。copyright 森は海の恋人

東日本大震災のすぐ後に行われた植樹祭を記念する碑。ライフラインすらまだ十分に回復していない時にあって、こういうときこと、このような運動を続けなければならない、ということで、行われたという。それを記念して建てられたということです。今回の気仙沼でのポケゼミを通じて、復興は少しづつ進んでいることが、よくわかったが、それにしてもまだまだようやく端緒についた、という感が強いです。その中で、この記念碑をみることで人々の胸に去来するものは何でありましょうか。おそらく未来永劫、その被害を忘れてはならないし、今後またくるかもしれない災害に備えての心構えも必要でありましょう。もちろん、瀬戸臨海実験所とて、こうした災害に対する備えは常にしていかなけれならないので、ひとごとではありません。

スギやヒノキの単純林になってしまうと、このような豊かな土壌にはならない。植林された木はまだ十分に大きくなってはいないものの、いかにも森らしい、美しい森が形成されていることが、よくわかりました。



さて今回もまたお世話になったNPO法人「森は海の恋人」ですが、下記にホームページがあります(画像をクリック)。





またNPO法人「森は海の恋人」Facebookは下記(画像をクリック)。




また同事務局のブログは下記です(画像をクリック)。




なお今回、畠山さんから興味深いエピソードを聞いた。ハンドバックなどの高級ブランドで有名なフランスの某メーカーが、三陸地方の養殖業及び水産業の復興支援の為、甚大な被害に遭われた宮城県気仙沼で牡蠣養殖業を営む畠山重篤氏が代表を務める「森は海の恋人運動」に義援金を寄付した、ということである。そのホームページには次のように書いてある(一部伏字)

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「森は海の恋人運動」は、「豊かな汽水域の恵みは豊かな森があってこそ生まれる」という点に着目し、おいしい牡蠣を育てるために、気仙沼湾に注ぐ大川上流の室根山へ植樹運動を続けるなど、環境保全及び環境教育活動を20年以上にわたり継続されています。畠山氏は、2012年2月、こうした功績をたたえられ、国連フォレストフォ-ラムの「フォレストヒーロー」に選ばれ、表彰されました。

50年前、フランスブルターニュ地方の牡蠣が病気による壊滅的被害に遭った際、宮城県産の種牡蠣がフランスに渡り、フランスの牡蠣業界を救って以来今日に至るまで、ブルターニュと宮城県との友好的な関係が続いています。

XXXXXの創業者がフランスのジュラ山脈の出身であり、トランクの素材にポプラ材を用いるなど、森とは深い縁があるXXXXXによるこのたびの支援は、フランスと宮城県との海を越えた交流、森や川、海といった自然を敬う活動への共鳴が発端となったものです。
XXXXXは今後も引き続き、「森は海の恋人運動」に対する支援を行っていきます。


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 世の中、何がどう繋がるかわからないものであるが、これも畠山さんのバイタリティーの求心力のなせる業なのでありましょう。梵天丸もかくありたい。