瀬戸臨海実験所公式ブログ ‐ 地球の海と生命を科学する人々の日常。

Aug 3, 2014

国際学会雑感 その3

posted by AA
シリーズの3回目です。



The Crustacean Society (TCS) and the Latin American Association of Carcinology (ALCARCINUS) Summer Meeting.  San José, Costa Rica.  July 2013

Copyright: TCS & ALCARCIUS Summer Meeting


コスタリカで開催された甲殻類の国際的な学会である。これはThe Crustacean Society と、ラテンアメリカの国々の甲殻類学者の統合的学会であるALCARCINUSのジョイント学会である。36ヶ国から、およそ200名の参加があった。私自身もこの大会のScientific Committeeのメンバーとして、プログラムの作成に関わってきた。


Copyright TCS & ALCARCIUS Summer Meeting







このブログで前にも述べたがTCSの大会は年2回開催されており、夏の大会は世界中をめぐり、冬は必ずアメリカで開催されている。私がPresidentであった時代に、私は2つの方針を打ち出した。第一は夏の大会は、その開かれる場所にある甲殻類学の学会と合同で行うことにより、より親密で豊かなコミュニケーション関係を構築することである。またも第二は、TCSの中にそれらの学会を結ぶLiaison Officerを置き、学会の相互交流のかなめとして機能させることである。




なお余談ながら夏の大会はSummer Meetingとよぶが、南半球で開催される場合には10年ほど前からMid-year Meetingとよぶ。というのも夏の大会は通常、7月か8月に開催されるが、これは南半球の冬であるからで、かと言ってそれをWinter Meetingと言ってしまうと、アメリカで1月に開かれるWinter Meetingと名称が重複してしまうからである。
それで思い出すのは2000年にオーストラリアのメルボルンで開かれたSummer Meetingで、その大会委員長であったMuseum Victoria Dr. Gary Poore氏が開会式の挨拶の冒頭で、「この大会は信じられないことにsummer meetingである!」と述べていたことである。会場は大爆笑していたが、私自身はとっさに何を言っているかがわからなかったが、考えてみると南半球では冬であるわけである。しかしそのように考えてみると、世界は北半球の論理で動いている部分と言うのが、多分にあるのかもしれない。
上記の第二の方針については、リエゾンする学会とLiaison Officer は次のような方々にお願いしている。中国甲殻類学会(相建海)、International Association of Astacology (川井唯史)、The Brazilian Crustacean Society Fernando Mantelatto)、The World Association of Copepodologists Rony J. Huys)、International Research Group on Ostracoda Renate Matzke-Karasz)、ALCARCINUMichel Hendrickx)、Colloquium Crustacea Decapoda Mediterranea Enrique Macpherson)、Terrestrial Isopod Biologists Group Jasna Strus)、Large Branchiopod Working Group Christopher Rogers)、Amphipod Group Wim Vader)、German Carcinologist Group Sebastian Klaus)。

Best Student Awardの授賞式にて。左よりTCS PresisdentのChris Tudgeさん、そのとなりがALCARCINUS副会長でブラジル甲殻類学会のPresidentでもあったFernando Mantellatoさん。一番右は、この賞をつかさどっているTCS Program OfficerのChris Boykoさん。そのとなりのヒゲの人がALCARCINUS会長のMichel Hendrickxさん。まんなkの4名が今回の受賞者の学生のみなさん

さて、このコスタリカの学会であるが、先に述べた第一の方針により、表記の2つの合同学会となっている。ALCARCINUSの会長のMichel Hendrickxは、長くTCSの役員でもあったので、私を含めTCSの役員の人たちにはお馴染みの方である。大変に精力的に研究を進めていて、ラテンアメリカの巨人、という感じの方である(体つきも大柄)
またALCARCINUS の副会長のFernando Mantellato さんは、ブラジル甲殻類学会の会長も務められた方で、TCSの役員でもあり、私は若いころからよく顔を合わせている。彼は若いころは、映画俳優のアラン・ドロンばりの美男子であったが(と言って今の若い人は、わかるか?)、最近はやや恰幅がよくなり顔も丸くなり、「昔はアランドロンのようだったかな?」という感じである。

私と彼とアメリカのRafael Lemaitre 氏とChris Tudge氏とで、「Biology of Anomura」シリーズのシンポジウムをずっとやっている。これはこの4名がみなヤドカリ類を材料として研究しているからで、シンポジウムは第一回目をオーストラリアのメルボルン、第二回目をイギリスのグラスゴー、第三回目を日本の東京海洋大学で開催している。またそのProceedingsは、それぞれMuseum VictoriaJournal、日本甲殻類学会、ブラジル甲殻類学会から出版されている。
コスタリカの学会で得たものと言えば、何と言ってもラテン・アメリカの研究者と多く交流できたことであろう。若い研究者の中には、英語がかなりたどたどしい人もいて、発表は英語かスペイン語のどちらでも良いことになっていたため、日程の後半はスペイン語の発表もかなりあった。いわゆる分類学や生態学などの自然史系の学問が、ここでもかなりさかんなことが見てとれた。


大会委員長のIngo S. Wehrtmannさん


この学会の大会委員長であるIngo S. Wehrtmannさん(Universidad de Costa Rica)は、2009年のTCS東京大会にて、1つのシンポジウムを企画してくださった方である。その時に、TCS Summer Meetingをコスタリカで開催したい、と提案されてきた。それ以来の再会であり、まことに感慨深いものがあった。